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「……いいですよ。開けても。パパさんにだけは見られたくなかったんです」
浩太郎は眉根を寄せた。一体何のことだ?
けれど、いくらかの好奇心も手伝ってその包みをそっと開いた。
中に入っていたのは、数冊の本。
それが何の本だか分かったとたんに、浩太郎は意味が分からなくて途方に暮れた。
……恥ずかしいのか? これは。
成海は両手を合わせて拝むようなポーズをする。
「ごめんなさい。すみません。俺そんなつもりじゃないんです」
土下座しかねない勢いで謝られても、さっぱり分からない。
「俺……パパさんの書いた本を探すって言ったでしょ? ああは言ったけど、普段あんまり小説って読まないから、全然分からなくて。それでつい、全然違う人の本をぱらぱら読んで……その作品にすっかりはまっちゃったんです。もう、一気に恋に落ちちゃったぞってくらい。そしたら、本屋で出くわした友達がその人の作品全部持ってるから貸してくれるようになって……。パパさんの本をまだ一冊も読んでないのに他の人の作品に寝不足になるほどのめりこんじゃって……。何か後ろめたくって……」
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