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一瞬にしてその場の空気が白け、私はとりなすように引きつった笑顔を顔に貼り付けた。
「まあ・・・色んな考え方がありますよね。信じるも信じないもアナタ次第・・・ですし?」
そこで星座占いの話は終るかと思いきや、その話題を続けたのは占いに否定的な藤代さん本人だった。
藤代さんはおしぼりを弄びながら、私を指さした。
「星占いに詳しいってことは、あんたは信じてるってわけだ。星占いとやらの相性を。」
「もちろんです。」
私はそう言ってゆっくりと大きく頷いた。
「私は星占いの相性を信じています。だって星占いってロマンチックじゃないですか。遠く輝く星達が私達の運命を導いてくれるんですよ?それにたかが占いって言いますけど、大企業の社長さんや政治家さんってお抱えの占い師を持ってる人も多いんです。」
そう、私は無類の星占いフリークだ。
朝の情報番組の占いコーナーは欠かさずチェックするし、雑誌の最後のページにある星占いも穴が開くほど読み込むし、星占い専門の本も家には沢山ある。
今朝の「おめざめテレビ」での星占いでは、「うお座のあなたは運命的な出会いがある」って女性アナウンサーが言ってたし、恋愛運も星5つだったから期待を胸に挑んだ今日の合コンなのだけれど、どうやら今回は当たりそうもない。
「で?あんたとの相性は?」
藤代さんは私の顔を、その鋭い目つきで睨み、右の口角を上げた。
「はい?なんでしょう。」
「だから、俺とあんたの相性を聞いているんだけど。」
「藤代さんは今さっき、星占いなんて信じないと豪語されてませんでしたっけ?」
「でもあんたは信じてるんだろ?じゃあ、参考までに教えてくれよ。」
教えて欲しいと言われれば、答えるのが礼儀というものだろう。
私は背筋を伸ばすと、ひとつ咳払いをした。
「私はうお座のA型です。水の星座であるうお座の私と、火の星座であるいて座のアナタとの相性は、ハッキリ言って悪いです。いて座のアクティブさに何事にも控えめなうお座は付いていけないのです。ちなみにB型男子とA型女子の相性も良くありません。B型男子は自由で型にはまらないのに対し、A型女子はルールを守ることをモットーにしているので、お互いイライラしてしまうのです。つまり藤代さん、アナタと私の相性は最悪、ということになります。」
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