北海道エゾシカ猟物語

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10月1日。 狩猟の解禁日だ。 俺は酪農を営んでいるが、10月からはエゾシカ猟も行っている。 内地では狩猟の解禁日は11月15日に決められているが、 北海道では降雪などの諸事情があるため、内地より早く、10月1日に解禁される。 なお、北海道では、一般的な狩猟期間は1月末までだが、エゾシカ猟に限っては狩猟期間が数か月、長めに設定されている。 エゾシカの駆除は北海道の重要な課題であるため、狩猟期間を長くすることで、エゾシカの頭数を減らそうというわけだ。 1年の中で、エゾシカとの衝突事故が最も多くなるのも、やはり10月から12月。 俺は金庫から散弾銃を取り出した。 法令により、猟銃は堅牢な金庫での保管が義務付けられている。 さっそく銃を分解し、清掃と油の塗布を行った。 銃の分解と結合は、銃を使う者として当然のようにできなければならない技能の一つ。 銃を組み立てた際に、1つたりとも部品が余ってはいけない。
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