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玄関に向かう翼の後を追う。
「あ、そうだ…」
と、不意にリビングのドアに手をかけた翼がくるっと振り返った。
そして、栞に視線を合わせて言った。
「しおりさんさっき 、自分のことかっこ悪いって言ったけど…そんなことないよ!?」
「…え?」
「昨日一緒に飲んでて 、しおりさんが普段どうやってお仕事で戦ってんのか、頑張ってんのか知って、それで…僕はしおりさんのこと、かっこいいって思ったんだ♪」
白くて綺麗な透明感のあるほほを少し照れたように染めて、翼がはにかむ。
ーー… …本当、昔からこーゆーの… …
弱いんだよなぁ… …
頭で考えるよりも先に
勝手に体が動いていた。
翼のドアにかかる手と反対の手を取る。
と、翼の大きな瞳が驚いたように栞を捕らえた。
翼の煌めく瞳に映る自分と視線が合う。
その自分に言い聞かせるように
はっきりと、言った。
「前言撤回!!つばさ君の1人や2人…
見るわよ!…面倒!!」
こうして、私の平穏な日常は
非日常へと変わって行くのでした。
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