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カレーパンを店に並べる前に、自主制作した「カレーパン売切り」ののぼりを立てる。そこにカレシがやってきて、出来立てのパンを全て買っていく。宏美の提案で、この店には「五個買ったら全品一割引き」というお得なサービスがあり、五個ずつ会計を分けることで一割の利を得られるわけだ。
そしてまとめ買いしたカレーパンをカレシの移動販売車で売る。
源田の店の定価に、百五十円分の粗利を乗せて──。
百個売り捌けば、凡そ二万円ぐらいの利益になる。宏美がアルバイトとして出勤する日は週五日。給料も上乗せすれば、ひと月あたり五十万から六十万の収入だ。
カレシが求めてくるのはセックスだけ。売上は全額こちらに回してくれる。半年で三百万の貯金ができる。何とも実入りの良い仕事である。
宏美はどうしても起業したかった。そのための資金を得るために遠慮などしていられない。所詮は金が支配する世の中だ。少なくとも源田に損をさせてはいないし、あと一ヶ月でカレシと別れ、パン屋も辞めると決めている。そして県外に移住して成功するのだ。
全ては別れた元夫の傲慢さを見下してやるために。
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