《草野精也の野望》

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 そんなある日、ネット掲示板で宏美と知り合った。精也は一度会ったことがあるのですぐに分かったが、彼女の記憶にはなかったらしい。西村の元嫁か──他の男であれば、様々な(おう)(さい)を考え、深い仲にはなりたがらないかも知れない。しかし、精也の性欲レーダーが、「この女、抱ける」と判断した。彼女の作戦を聞いてみると、まずまず成功しそうな話だと思った。そして精也はもう一つの計算をした。  一個につき百五十円を上乗せするカレーパン。それにもう五十円上乗せしたらどうだろう。移動販売は月に二十二日。日に百個売り上げたとして最低でも十一万の粗利となる。この金を三、四回に分けて西村に貸せば、回数分の女を紹介してもらえる。宏美を好きなだけ抱けて、同時に別の女も……。  俺はなんて頭がいいんだ、と高笑い、その翌日に宏美のカレシとなった。無論、当日のうちに彼女を抱いた。利益を全額渡すと言ったら喜んでくれた。隠れて五十円上乗せするとは知らずに、若い身体を差し出すことが痛快で、毎日のように行為を求めた。だが、思うように感じてくれないことが、何だか少し不満だった。
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