《源田の妻がしたいこと》

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 源田の妻も、夫と同じく恋をしていた。  パチンコ店で仲良くなった西村という男と、彼が紹介してくれた草野という男。どちらともと肉体関係を持ったが、西村には西村の良さがあり、草野には草野の良さがあった。夫にはまだ気づかれていないが、今後も二人の男に抱かれたい気持ちが止まらない。先にバレたらこちらの負けは確定だ。そうなる前に源田と別れ、手に入れるものを手に入れて、さらにネットワークを拡げ、年下の男を日替わりで楽しみたい。はっきり言って、源田には何の未練もない。男とパチンコで遊び、失われた活力を取り戻すのが最優先事項なのだ。  草野の移動販売車が、今日は近隣に来るらしい。  彼の売るカレーパンは、源田の作る味に似ているが何倍も美味しいと思う。  源田のカレーパンにもすでに飽きていた。恋と欲情の味がする草野のカレーパンが食べたい。フェロモン入りの香水をつけて出かけよう。今日は草野としたい気分だ。女は年を重ねてこそ成熟していく。考えただけでうれしくなってきた。
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