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コンテスト用のSNS
「ふははは。これは優勝した様なものだね!」
腰に手を当てて高笑いしているメイド姿の三浦君は、なぜか満面の笑顔で周囲と盛り上がっている。不思議に思って近づいて行くと、三浦君は僕にスマホの画面を見せた。
そこには朝撮った僕と三浦君のツーショットが、動画の様に加工してあった。恥ずかしがる僕が「会いに来てね?」という吹き出しと共に加工してあった。
「何これ…。」
動揺を隠せない僕に、三浦君は下の方を指差した。閲覧回数がポコポコと更新されていて、コメント欄も次々に切り替わっていた。
「店が始まる前から、凄い勢いで見られていてさ。これはお客が殺到しちゃうでしょ。」
そう言って三浦君がウインクしたけど、僕は引き攣った笑いを浮かべるのが精一杯だった。こんなに注目されて何だか落ち着かない。
三浦くんの予言通り、文化祭の開始と共に僕たちのクラスは目が回る様な忙しさだった。あのコンテスト用の短い動画が効果あったのか、廊下まで人が並んでいた。僕と、三浦君には写真依頼も昨日より増えて、僕はオーダーを取るより一緒に写真を撮る方が忙しかったかもしれなかった。
意外なところでは真田君が人気で、マッチョな胸筋にみんなが笑いながら頬擦りしているのを見て、思わず僕も笑ってしまった。
昼休憩は、急遽弁当班が組まれた。買い出しされた弁当を順番に交代に食べては店に戻ることになった。人気なのはメイドだけではなくて、執事もキヨくんが居るせいなのか他校の女子高生達が詰めかけた。
キヨくんの眼鏡執事姿が、前日に来ていた女子高生のSNSで広まって、押しかけたみたいだ。キヨくんの腕にぶら下がる女子高生達を見ていると、何となくスッキリしない気持ちは何故なのかは分からなかった。
一方の僕も他の人に構ってられないほどだったけれど。箕輪君がまるで僕のマネージャーの様に客を捌いていた。
「橘、みんなお前の清純そうなメイドに会いに来ているんだから、上目遣いとかサービスしてやってよ。」
そう、面白がって揶揄うから、僕は思わず口を尖らせて愚痴ってしまった。
「僕、もうクタクタだよ。お昼も時間なくて、おにぎりひとつだよ?」
すると箕輪君が悪い顔をして、店の奥から売り物のチョコバナナを二本手にして戻ってきた。そして写真に並んでる客に向かって言った。
「はーい!今から可愛いメイドにチョコバナナを食べさせる企画を始めます!限定二名様です!特別企画ですので一回1500円でーす。早い者勝ちですよ~。」
ええ!?聞いてないけど!
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