24人が本棚に入れています
本棚に追加
優しかった明樹くんがいなくなったのはいつだっただろうか?
出会った日のことも含めて、なぜか誰も覚えていない。
私は明樹くんに会いたくてずっと探しているけれど、もう何年も見つけられずにいる。
返したいものがあるのに、明樹くんはまるで初めからいなかったかのように、私の前から消えてしまった。
「咲月、学校遅れるわよ」
その日珍しく朝寝坊した私は、母に揺り起こされゆっくり眼を開けた。
時計は7時を指していて、急げばぎりぎり遅刻はしない。
だけどなぜだか起き上がることができない。
真面目過ぎると言われている私が、初めて学校に行きたくないと感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!