明樹くんは 確かにいた

2/28
前へ
/28ページ
次へ
 昨晩何か特別なことがあったわけではない。  なのに、まるで体力の限界を超えてスポーツをした後かのような強い疲労感が私を襲っていた。 「大丈夫? 熱はないみたいだけど」  母は私のおでこに手を当てながら首をかしげる。  いつもと違う私を見て心配になったようだ。  母の声がどこか遠くに聞こえる。  私はまだ半分、夢から抜け出せていないのかもしれない。 「無理することないわ。今日は休みなさい」  学校には連絡しておくからと母は言った。  私が何ひとつしゃべらない間に、学校を休むことが決まった。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加