明樹くんは 確かにいた

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 確かに夢だとわかる明晰夢であると同時に、不思議なことになぜか現実感がある。  夢の外で感じた疲労感は、今はまったく感じない。   「私に会えてうれしいくせに」  私はその猫をそっと抱きかかえて軽い感じで話しかけた。  以前は確かに人間だったはずの明樹くんは、猫になって私の腕の中にいる。  現実の世界でも何度もすれ違っていた猫が、まさか明樹くんとは思わなかった。  人になつかず、近づくとすぐにどこかに行ってしまうのに、それでもずっと見守ってくれている、そんな猫だった。  よく見ると確かに明樹くんと瞳が似ている。  いなくなってからもずっとそばにいてくれたんだと思うと、涙が出るほど嬉しかった。
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