清し雪降る夜に

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「ビール。お好きなんですね……」 「ええ。これさえあれば何もいらないくらい」 「あら、そう。私もそうよ。気が合うわね」 「日本酒ですか。ビールが大好きですが、美味しそうですね」 「ありがとう」  それから私は厚化粧の女と熱心に話し込んだ。  勿論、お酒の話だ。  ああ、大人っていいな。  私は心底そう思う。  なんたって、お酒が飲めるのだもの。  だけど……。  あれ?  ビールって、苦い味だって気付いたのはいつだったのだろう。  はじめて飲んだ日は……?  はじめて美味しいっていった時は?  そこで、私は気が付いた。  店内よりも私の身体の方が冷たいことに。
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