sweet misunderstanding

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今日は一年に一度の甘いお祭り。 ありすちゃんのおうちもバレンタインの準備の真っ最中。 今年は初めてありすちゃんもお手伝い。 もう6歳なのですから。 チョコレートのにおいでいっぱいになったキッチンにはつやつやきらめくチョコレート。 手にいっぱいチョコをつけたありすちゃんはチョコレートのお姫様みたい。 歌うようにキッチンにたち、胸はときめきでいっぱいのようです。 「ママ、チョコレートは誰に渡すの?」 きらきら瞳を輝かせてママを見つめます。 「パパとありすちゃんだよ」 その答えにありすちゃんはがっくり。 「バレンタインのチョコはね、好きな人に渡すんだよ」 保育園の友達に教えてもらいました。 バレンタインは好きな男の子にチョコを渡す日だと。 一番人気は運動が得意なゆうとくん。 優しいはるまくんも人気だ。 そう、家族の「好き」ではなくて、そういう「好き」な男の子に渡す日なんだ。 「うん。だから、パパとありすちゃんに渡すね」 それでもママはにっこり笑顔で答えます。 「そういう好きじゃないんだよ。ママはもうわかってないなぁ」 ママにはどうして伝わらないんだろう。 ありすちゃんはチョコをつまみ食いしながらぷんぷんします。 ママはありすちゃんのほっぺについたチョコをハンカチでぬぐいます。 赤いぷにぷにほっぺのありすちゃん。 「大丈夫、わかってるよ」 ママはやっぱり笑顔で答えます。 ありすちゃんがその意味に気づくのは何年後になるでしょうか。 今日は一年に一度の甘いお祭り。 きらめく瞳にときめく胸。 ありすちゃんのバレンタインは始まったばかりです。
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