生きる

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生きる

もしも私がこの世界から ぽっかりいなくなったとしても それでも世界はいつも通り くるくる周ってる。 そんな悲しい事実に気が付いて 呆然と立ち尽くしていた。 かじかんだ手を ポケットに入れると そこだけ少し暖かくて 「まだ生きたい」って くしゃくしゃになった紙屑が出てきたんだ。 そうなんだ。 まだやりたいことがあって まだ会いたい人がいて まだ幸せにしたい人がいる。 きっと私がいなくても 誰かが私の代わりに仕事をする。 いなくなった喪失感は 残された人は喪失感をいつか克服して生きていく。 私たちが生きている世界は ちょっとやそっとでは揺るがない とても強いものだ。 だから、私は「生きたい」と思うから生きるんだ。 必要とされているからではなく、 私にまだやりたいことがあるから。 私が笑顔にしたい人がいて 私がもっと幸せを感じたいから。 だから私は生きていく。 私が生きたいのだから。
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