第1章

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 活動終了した事に、驚かなかったのは訳があった。1つは活動終了前に出した11枚目のシングル。  テーマは感謝。メンバーが思い出の場所で、感謝の言葉を伝えたい人の目の前で、11枚目シングルの曲を披露する。と、いうものだった。  家族や、親戚、親友。それぞれの思い出が詰まった場所で披露したその曲は。何処か、寂しげだった。  この曲を聞いた時、終わりっぽいな!と思ってしまった。彼女たちの曲は。全体を通して、夢を諦めない事や自分の信念を貫きたい。というメッセージ性が強かった。だけど、そのシングルだけ。そういうメッセージ性がありながら、これが最後だよ…と言っている気がした。  そして、それから3か月後の事。活動終了が発表された。 その1か月後。5年目にして最初で最後のアルバムを出した。アルバムに収録されている曲は今までの表題曲とカップリング曲。と、アルバム限定の曲。 そのたった1枚に収まる程。彼女たちの歴史の長さは浅くない。  恐らく、100曲ぐらいはあると思う。  その最初で最後のアルバムでランキング1位を獲得して、複雑な気持ちになったのは今でも覚えている。  そして、アルバム発売日の1か月後。彼女達の最後のライブ。田舎に住んでいる私はご時世を理由に、会場には行けなかった。配信という手もあったが。私はそれすら見れなかった。  そして、ファイナルライブから3日後。彼女達はそれぞれの道を歩み始めた。ソロ活動、別のグループでのアイドル活動、ミュージカル。動画配信、飲食店の開業。と今までとは違った世界で…彼女達は輝こうとしているのに。  私は素直にそれを応援することが出来ないでいる。最初の頃は、応援したい気持ちでいっぱいだったのに。  結局。私が好きだったのは。アイドルグループのメンバーだった彼女達であって。別々の世界で輝く彼女達ではないのだと…    
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