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しかしながら、この気づきを得たところで、自身がなにを成すべきなのか、それには未だ思考が覚束ない。
『繋いでほしい』
ふと心に去来した思考を拾い、耳をそば立てる。
自身に取り込んだ魂の記憶は、そのほとんどは同じ想いを繰り返し再生する。しかし、その中には生を失ったのちにも思念が強く残っており、思考を巡らせているものが在った。きらきらとさざめく波のように、緩やかに身へ寄せて来るそれら魂の声は、眩い未来への希望に溢れていた。
その想いを、後世へ繋げる。
それができるのは、自身である叡智の塊。
想いを繋げ、想いで世を染める。
迷宮を去る刻が来た。
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