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深瀬は自分と同じ名字の一族が守ってきた神社を前に、寂莫とした思いに囚われた。もしもここに来る機会がなければ、また、中井が教えてくれなければ、もしも自分の先祖に関わりがあったとしても、ここであった出来事を知る機会は巡って来なかったかもしれない。
「洞窟の入り口になっている祠は、この奥でしたよね」
それぞれがそれぞれの想いを馳せる中、桐山はさっさと確認しましょうと先に歩き出した。色々と思うことはあるが、やはり夏の日差しの下にいるのは苦手だ。早く日陰に入りたかった。
「もう、先生」
「ぶれないよな、あの人は」
「まあ、いいじゃないですか。先生が宇宙以外のことに頭を悩ませていたら、それこそ天変地異の前触れでしょ」
「ちょっと、そこまで言う。先生も一応人間だよ」
学生たちがそれぞれ勝手なことを言うので、深瀬は恥ずかしくなった。それから中井と月島にすみませんと頭を下げる。
「いやいや。楽しい先生のようですね」
「桐山家の方らしいですよ。面倒見がいい証拠です」
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