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きっと、家の事情とかが落ち着いたのだろうと、睦美はそう単純に考えていた。果穂の家に泊まることも何度もあったので、特別いつもと違う何かを睦美が感じるはずもなかった。
果穂の自宅は築浅3LDKのマンションで、いつものように二人でエレベーターに乗り込んだ。
「今日親いないんだー」
「そうなんだ。良かったの?」
「うん。睦美ならいつでもOKだって、ママも言ってたよ」
「そっか。ねえ、果穂、おうちの人と何かあったのかなって思ってたんだけど、もう大丈夫なの?」
「……。まあね」
果穂は慣れた手つきで部屋の鍵を開けて、睦美を招いた。
睦美が疑う余地は、まったくなかった。
いつものパジャマパーティと同じだった。
夕飯は二人で、パスタを茹で、市販のソースをかけた。
早めに入浴も済ませて、リビングで、だらだらとジュースを飲みながら、二人が好きなアニメの劇場版を見はじめた。
けれど、睦美には前半の二十分までの記憶しか残っていない。
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