就職

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就職

30になっても僕は何も変わらなかったけど時代はどんどん変わっていく。 就職氷河期によってあぶれた人たちを、積極的に雇用しようという企業がチラホラと出て来た。 ただこの動きは正直微妙なものだったらしい。 大卒者たちは「待遇が悪い」と結局、その企業からの救いの手を掴む者は少なかった。 確かに給与面はかなり低く、一概に彼らを「ワガママ」と評してしまうのは難しいと思う。 だがこの流れは僕にとって幸運だった。 僕は待遇より何よりとにかく正社員になりたかった。 おかげで僕は10年ぶりに正社員になる事が出来た。 給食管理センターの事務員だが、時々手が足りない時は配送もしたり、得意先の挨拶に周ったりもした。 仕事は言ってしまえば誰にでも出来る事で、僕は無難に業務をこなした。 手取り14万7000円でボーナスは無いけど、僕は全く不満が無かった。 そして僕に生まれた初めて彼女が出来たのだ。
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