黒いのは

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邦彦の母の葬儀は、身内は居なかったが 生前の人柄なのか沢山の弔問客が訪れた その中に見知った顔があった ここでバレればどうなるかわからない 俺は身を隠すようにその場を離れる 何故その人が居たのか 全くわからないが喪服を着 一人線香をあげ居なくなっていた 「何でいるんだ?どこで繋がってるんだ?」 邦彦のお母さんとあの人 どう見ても邦彦のお母さんの方が若い 同級生では無さそうだが… 疑問を抱えながら葬儀を終え 邦彦と及川君と俺だけで最後の見送りになった 「母さんは、幸せだった? 僕は、母さんと出会えて良かったよ」 邦彦が呟く 「おば様、僕も居ますか、塗ろご心配なさらず」 及川君も呟いた 「最後になってすみません 邦定の息子 薫です 小さい頃お会いしたのでしょうか?僕には記憶無くて… 邦彦と仲良くしていきます 見守ってください」 そっと顔の近くに真っ白な百合の花を置いた 焼場の煙突から薄い煙が天にのぼる 邦彦のお母さんが天に帰る 親父と何があってこう言う状況になったのか 当事者達が居なくなった今では何もわからない ただ言えるのは 邦彦と俺は腹違いの兄弟って事だけは 変わらない事実になっている
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