黒いのは

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遺体安置場に着いた俺が見たのは 多重事故と言うのに 傷があまり無い弟と弟の嫁 そして姪っ子と………母だった 弟一家は、よく母を連れ墓参りに行ってた 今回俺も誘われたがお断りをしてここに立ってる 「顔……キレイなモンすね」 ポツリ呟いた 「はい、事故自体はたいした事無い事故だったのですが 事故を起こした車が有毒な物を積んでまして… ガスが発生してしまい今回の大惨事になってしまったようです」 警察官は、わかりやすい言葉で説明してくれた 「そうですか…」 俺は、もう何が何だかわからない状態で真守と母ちゃんを見つめるだけだった 「母ちゃん…生きてる時は言えなかったんだけどさ… クソ親父の遺伝子俺らの他にもあったよ 言えなくてごめん… 文句は、そっちで親父に言えよ…」 そう言って腹の上に置いてある手に手を添えて呟いた 葬儀は、四人合同だったので 真守の関係者 義妹の関係者 姪っ子の友人 母の友人 たくさん弔問に来て下さった 「薫、大丈夫か?」 母方の叔母が話しかけに来た 「ああ、富美ちゃん…」 「疲れたべ」 「うん、そうだね」 「これで花栄ちゃん(くん)ちゃんの所に行けるね」 「そうだね…」 「花栄ちゃん邦ちゃん大好きだったからさ」 「え!?そうなの!?」 「そうだよ~」 「まあ、邦ちゃんも花栄ちゃん大好きだったから」 「そう見える前に逝っちゃてるから想像付かないわ」 「邦ちゃんモテたしな」 「あ~」 「それは知ってる?」 「母ちゃんから聞いた話だけど 銭湯に俺連れて行くと『薫ちゃんに』ってチョコをくれたとか 番台に預けて行く人がいたって聞いたよ。俺、乳児なのにチョコなんか無理じゃん、親父狙いなんだろうな~って思ってる ……ってかさ、乳児連れなのに親父にアプローチって何がしたかったのかな」 「さあね~ あわよくば自分が邦ちゃんの横に立ちたかったかね」 「そうなんかな~」 「あ、そう言えば藍子さん来なかったんだね」 「藍子さん?え?富美ちゃん知ってんの?」 ちょっと驚いて返しちゃった 「ほら、一応親戚だしね。 あとさぁ、あの人私の算盤の先生なんだわ」 えっ、初めて聞く話 「え?藍子さんって算盤の先生だったの?」 「そうだよ、藍子さんのお父さんが算盤の先生で最初助手みたいな感じだったけど 大先生が体調くずしちゃって引き継いだ感じなのかな」 「へー知らなかった」 「今更こんな話お前に聞かせてもなんだけどさ あの人クソ意地悪いんだわ」 「あ~何と無くわかるわ」 「カオ先生に当たり散らすしさ」 「カオ先生?」 「そう、助手で入った先生なんだけどさ、 出来がいいんだけど要領悪くてさ 子供ながら見てても守ってあげたくなるんだよね~ あっ、名前マモリだったな マモリ カオ先生」 は? 意味が解らなくなってきた マモリ カオは、真守 邦彦の母の名前だった気がする 接点あった!! 父方の伯母 藍子と邦彦の母 カオの接点 …ってカオ? 俺の名前もそこからなのか?
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