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誰?
その日は、秋も深まって来たのに暑かった
散々、夏の日に晒されていて早く涼しくならないかと思っていたのに
急に寒くなると夏の暑さが恋しくなる
調度そんな気温が上がった日
俺の電話に見知らぬ番号から着信があった
昔から知らぬ番号には出ないタチなんだが
平日・日中・海外からの着信では無いのと
グレーのセキュリティ画面に
発信者の番号と名が見えたから
━法律事務所━
は?法律事務所?
何!?何か俺した!?
心臓が破裂しそうな位緊張したが
俺は、一呼吸おいて電話に出た
「もしもし?」
「お忙しい所失礼致します。私、及川法律事務所の代表しております及川賢二と申します。坂牧…坂牧 薫さんの電話ですか?」
「はぁ、はい」
間抜けな声が出てしまう
「坂牧薫さんですか?」
今一度確認してくる
「はい、坂牧本人です」
気圧に押されまいと気丈に振る舞う
「坂牧さん、真守 邦彦さん御存知ですか?」
「まもり…さんですか?いえ、聞き覚えありませんが…」
この時点では全く意味がわからなかった
「坂牧さんのお父様は、坂牧 邦定さんですよね」
「はい、もう他界してかなり経ちますが…」
「はい、存じております。大変申し訳無いのですが近々事務所の方に出向いて頂く事は可能ですか?」
「えっと…どんなお話でしょうか?」
「そうですよね。坂牧さんご家族の今後が関わるお話かと…」
不安がよぎる
「わかりました。一番早くてお時間いつ取れますか?」
こうして俺は、明日の夕方
この及川弁護士と弁護士事務所で会う約束をした
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