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玄関には、巨大な蟻の間を通り抜けなければたどり着けないが、現在己の部屋の壁は外に繋がっている。動揺しながらもそう考えた昼斗は、巨大な人型ロボットの方へと歩み寄った。機体は、丁度首に当たる部分が開いていて、そこから首のない遺体が、ずるりと床に落下したところだった。視線を下げれば、たった今千切れたばかりらしき頭部が床に合った。周囲には血の臭いが充満している。ここへときて震えが全身を駆け抜けた昼斗は、機体に走り寄った。その位置から壁の向こうを見れば、アスファルトの上を闊歩する巨大な蟻がいた。よく見れば、その背中には透明な翅がある。右手で唇を覆った昼斗は、外界にも逃げ場がない事を悟った。
「嫌な……夢、だな……」
呟いてみるが、その声は震えていた。
背後からは、巨大な何かが蠢く音が響いてくる。明らかに、それは近づいてくる。
――逃げなければ、死ぬ。
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