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そう直感した昼斗は、意を決して人型ロボットへと歩み寄った。そして遺体の隣から機体の中へと入ってみる。最も頑丈そうで、隠れられる場所が、他に見当たらなかったからだ。赤く染まっている座席を目にして震えながら、コクピットの計器類をチラリと見る。
すると、雑音交じりにではあったが、音声が聞こえてきた。
『すぐに……ラムダ……球体に……触れ……エンジンの……』
きっと何処かからの通信なのだろうと判断しつつ、昼斗は正面にあった球体を確認した。操縦桿らしき物の隣に、淡い緑色に輝く不思議な光球がある。
≪死にたくなければ、触った方がいい≫
その時、今度ははっきりと、そんな声が昼斗の耳に入った。
狼狽えつつ、昼斗は手を伸ばす。すると球体に触れた瞬間、その場に光が溢れた。
眩しさで一瞬目を閉じて、すぐに瞼を開けると、機体の頭部がゆっくりと動き始め、人型ロボットのコクピットが封鎖されようとしていた。息を飲みながら自室を見れば、まさに蟻が侵入して来ようとしている。
――間に合え、頼むから、早くしまってくれ。
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