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「――この中に乗っていた方は……っ、さっき、亡くなってた」
頭部が無ければ、人間は生きる事が出来ない。
モニターを見れば、やはり首の無い遺体が映し出されている。血だまりと共に。
『どうやって搭乗を? パイロット適性が無ければ、通信すら不可能です』
「そんな事を言われても分からない! 蟻が、蟻が来たから、俺は隠れたんだ! 助けてくれ!」
『――左手にある操縦桿を引けますか?』
「分からない」
『ではすぐに試して下さい。再起動さえ出来れば、こちらで自動操縦が可能です。とにかく、その機体を失うわけにはいきません』
「……やってみる」
左手を伸ばし、昼斗は思いっきりレバーのような操縦桿を引いた。
するとコクピットの中が、より一層明るくなり、様々なライトが点いた。目を瞠っていると、ゆっくりと、しかし確実に人型ロボットが立ち上がった。
『成功しました。離陸します』
「えっ? 俺は、どうすれば――」
『貴方の使命は、人型戦略機エノシガイオスを帰投させる事です』
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