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 何という事だ。  @さいわらを助けようとした僕の体も「窓」の外へ出て行く!  そして、僕が見たものは。  「……最笑ちゃん……!」  いつも「窓」の中から見ていた、「奥行き」がある「あっちの世界」の@さいわらを。  僕は今、「窓」の外に出て見ている。  彼女は今、僕らが住む「窓」を置いて、別の大きな「窓」を覗いている。確か「鏡」と呼ばれる「窓」だ。  僕は見つからない様に、僕らが住む「窓」に必死で貼りついた。  @さいわらはどこへいったんだ!?  ……それにしても……!  毎日、手が届かないと分かっていても眺めていた、本物の最笑ちゃんは。  世界中の誰にも描けない、絵画の様な@さいわらが「奥行き」を持った姿である最笑ちゃんは。  直面している異常事態も、悲鳴を上げたい程の怖さも、忘れてしまうほどの。  まさに次元が違う美しさだった。  ……ああ、美しい……!「奥行き」がある事は何と素晴らしいのだろう!  彼女だけではない。いつも見ている普通の部屋の全てが、新鮮な感動に溢れている!  そんな、混乱しながらも感動していた僕の頭を一瞬で正気に戻したものは。  ──どうだ、美しいだろう。  ……その子の側にいたくないか?──  どこかから聞こえて来た、誰かの声。
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