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 「憂希君、いつも必死で耐えてるのに今日は寝ちゃったねえ」  家が隣同士の幼なじみ、最笑(さえ)ちゃんといつもの様に帰り道。  彼女はみんなの前では俺を「浜谷君」と呼び、二人になると「憂希君」と呼んでくれる。 「最笑ちゃーん、もっと早く起こしてくれたら良かったのに」    空気を読むのが苦手な俺だけど、最笑ちゃんと歩いてると男どもの視線を痛い程感じる。  「どうして浜谷なんかと……!」という羨望の眼差しのマシンガン。  まあ、それも仕方ない。  身長は172センチの俺とほぼ同じ、なのに脚は人形みたいに長くて細い。何だその異次元な腰の位置は。  ロングの黒髪はさらっさらで、名前の通りいつも笑顔。せっかくの整った小さな顔を平気でぐちゃぐちゃにして笑ってしまうのも好感度高い。  「どうせまた漫画読んでたら止まらなくなったから睡眠不足なんだよねー?」  その漫画から飛び出して来た様な女の子、それが最笑ちゃん。  「暗くても読める電子書籍が悪いんだよお」  断っとくけど、残念ながら俺はただの幼なじみだからな。  出会ってからどれだけ時間が経ってても、そこにフラグは立ってなんかない。  俺と最笑ちゃんとでは住んでる次元が違う気がする。今だって五等身のギャグ漫画と九等身の劇画のコラボ企画みたいになってるし。  「ところでさあ、私の分身「@さいわら」に、いいねをいつもありがとねっ」  そんな最笑ちゃん、最近はなんとコスプレにハマってる。
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