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手刀で男の手をウチから離させた世話係――琉生は、キチリとした黒縁眼鏡を上げながらナンパ男を見下ろす。
きっちりとスーツを着込んだこの男が、ウチの公認ストーカー。
「うちのお嬢様に手を出さないでいただけますか」
「なんだよこの男!いてぇな!」
「アンタの方がイタいことしてるんだって気付きなさいよ」
ウチはタピオカをズゴゴゴゴっと飲みながら、琉生を呼ぶ。
うん、今日もここのタピオカはうまいわ。
「いいわ。琉生、帰るわよ」
「はい、舞耶お嬢様」
呆然としているナンパ男を放って歩き出すウチに付いてくるのは、ウチの世話係。
兼、公認ストーカーだ。
言い間違えてなんていない、こいつは公認ストーカーだ。
ウチが目立ちたくない時はこうやって近くで待機してもらっている。
世話係としてはかなり優秀だけれど、発言が時々危うい。
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