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「まあまあそんな怖い顔しないで」少し慌てて、手を振るカラスマ。
「僕が言いたいのは、このライムの一絞りが、ラムコークをキューバリブレに変えてしまう、ということです。お客様を悩ませる事件も同様に、たった一絞りーーいえ、一つの嘘が事件の真相を濁らせ、難解にしているのです」
言い終えたカラスマは、「どうぞ、お召し上がりください」とラムコークを勧める。
深雪は憮然としながらも、また素直に一口。やはりコーラとラムの相性は最高だという事実を再認識しながらも、キューバリブレを味わった後では何か物足りない。ライムの清涼感だ。
ラムコークとキューバリブレ。違いは一絞りのライムだけ。例のコンビニ強盗事件も同様なのだとカラスマは言う。では事件のどこに、一絞りのライムがあったというのか。
「まあいいわ。カクテルの例えは相変わらず意味わかんないけど、あなたのご意見を聞かせてもらえるかしら。たった一つの“嘘”がこの事件を難解にしてるって言うけど、一体誰が嘘をついていたの?」
捜査をした限りでは、容疑者達が嘘をついているような気配はなかった。
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