二杯目 キューバリブレは一絞りの嘘で

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 唖然とする深雪。でも、カラスマの話は確かに筋が通っている。だからといって一人の刑事として、まるまる話を鵜呑みにするわけにもいかない。 「じゃあ犯人の目的は? 包丁を持ってコンビニを襲撃だなんて、強盗以外に何があるっていうのよ」 「殺人でしょう」  カラスマはグラスを拭きながら、平然として答えた。その素直すぎる回答に、深雪は動揺を隠せない。 「さ、殺人!? 南奈美恵を殺すためだったってこと?」 「違いますよお客様。落ち着いて考えてください。犯人の目的はあくまでも池杉。だから凶器を彼だけに向けていたのです」 「それは確かにそうなのだけれど、でもーー」  困惑する深雪。そんな彼女にカラスマは宥めるように言って聞かせる。 「いいですかお客様。先程の論理によって導き出された『犯人の目的が強盗でない』という結論は、この事件を二つの事実に分解しました。  まずは、池杉光太郎の証言が嘘であるということ。次に、犯人の行動が酷く衝動的で、強い殺意を持ったものであったことです」  深雪はカラスマの言葉をゆっくりと咀嚼するように目を閉じた。やがていつものようにクールさと落ち着きを取り戻すと、確認をとるように言葉を紡ぐ。
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