二杯目 キューバリブレは一絞りの嘘で

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「回りくどいわ。もうわかるでしょ、犯人。犯人候補は二人。西原明美と東田真耶よ。彼女達は二人とも池杉ーーコウタロウのファンだったわ。彼の不祥事に反応して当然よね。ライブにも来ていたから、ドリンクチケットを持っていた可能性も十分にあるわ。だから犯人はーーあれ?」  ーー全然絞り込めないじゃん。  深雪は腕を組み、首を傾げる。 「候補はもう一人いますよ。北野莉子です」  そんな彼女に、カラスマが助け舟を出す。 「北野莉子? ライブハウスのオーナーよね。待って、どうして彼女が候補なのよ」  頬杖をついて、深雪は不満げにじいっとカラスマを見つめる。 「条件は合致してますよ。北野莉子もライブハウスにいたわけですから、ドリンクチケットは持ち得ますし、何より、池杉と親密な関係であったことも確かです」 「説明して!」
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