#003 夢じゃなかった

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「やっば!バイト遅刻しちゃうんですけど!」  起きろわたし!  そう強く思った若葉は、自身の両頬をバッチンと引っ叩いた。 「若葉!起きろ!このままじゃ遅刻しちゃうぞ、起きろ起きろ!」  そう叫びながら、バチバチ頬へ暴力を振るい続ける若葉の手首を掴んで止めたのは、彼女を姉ちゃんと呼ぶ男。 「ちょっと姉ちゃんなにやってんだよ!まじで気ぃおかしくなった!?」 「なによ止めないでよ!わたしこれからバイトなの!」 「はあ、バイト!?今日は休みだって、俺に今朝言ってたじゃん!」 「今朝!?あんたと朝やり取りした夢なんか、見てないけど!」  立ち上がった男に両手首を引っ張られ、顔の前でそれを静止させられた若葉。 「姉ちゃん、いいからまじで寝てなよっ。なんか変だって……」  憂いに満ちた声が降ってくると同時、若葉には目前で、一時停止した自身の腕が見えた。 「なに、この腕……」
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