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「やっば!バイト遅刻しちゃうんですけど!」
起きろわたし!
そう強く思った若葉は、自身の両頬をバッチンと引っ叩いた。
「若葉!起きろ!このままじゃ遅刻しちゃうぞ、起きろ起きろ!」
そう叫びながら、バチバチ頬へ暴力を振るい続ける若葉の手首を掴んで止めたのは、彼女を姉ちゃんと呼ぶ男。
「ちょっと姉ちゃんなにやってんだよ!まじで気ぃおかしくなった!?」
「なによ止めないでよ!わたしこれからバイトなの!」
「はあ、バイト!?今日は休みだって、俺に今朝言ってたじゃん!」
「今朝!?あんたと朝やり取りした夢なんか、見てないけど!」
立ち上がった男に両手首を引っ張られ、顔の前でそれを静止させられた若葉。
「姉ちゃん、いいからまじで寝てなよっ。なんか変だって……」
憂いに満ちた声が降ってくると同時、若葉には目前で、一時停止した自身の腕が見えた。
「なに、この腕……」
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