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「琥太郎。莉乃の具合、どう?」
「超やばい、まじでやばい。姉ちゃん超絶に頭おかしくなっちゃったみたいで、俺のこと『くん』付けで呼んできたりすんの」
「ええ、いつも『コタ』って略してんのに?」
「そうそう、だからもしかしたら昂生くんのことも、『昂ちゃん』じゃなくて『昂生さん』だなんて呼んでくるかもよ」
「ははっ、まさか」
琥太郎に寝かしつけられた若葉の目が覚めたのは、男ふたりのそんな会話によって。
コタと昂ちゃん、か。
怪しまれぬよう、せめて呼び方だけは水瀬莉乃通りに、と心に決めて、瞼を開ける。
「昂ちゃん、来てくれたんだ──」
って。
「あ、あん時の!!」
起こしかけた上半身をすぐさまシーツへ戻した若葉は、布団を頭のてっぺんまで引っ張った。
「姉ちゃん、なにやってんだよ」
しかし琥太郎に即剥がされて、彼の隣に座る人物とばっちり目が合ってしまう。
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