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「莉乃?」
「へ!?」
明るいLEDシーリングライトに照らされた自室にいたはずの若葉。しかし天井へと嘆いた瞬間に、彼女の前には暗がりが広がった。これだけでも慌てふためく状況なのに、さらにパニックに陥らせてくるのは、目の前から聞こえてくる重低音。
「莉乃、さっきはあんな言い方してごめん。もう一回しよ?」
は?と思わず若葉は言った。徐々に慣れた目、暗い中でもわかること。それは面前の男は裸んぼうで、ここはベッドの上ってことだ。
そして若葉の胸に熱を帯びた男の手が触れた時、もうひとつ気付くことがある。
「ぎゃあ!」
奇声を発し、背を反らす若葉。やたらと感触のあった胸元を若葉が咄嗟に両手で覆い隠したのは、彼女も目の前の男同様に、裸だったからだ。
「ちょ、な、あ、だ」
ちょっとなに、あなた誰。
狼狽中の若葉はそれすら上手く言えず、縮こまるだけ。
「こ、ど、な、す」
ここどこ、なにすんの。
ガタガタと震え出す若葉の身体。それを男は抱きしめた。
「莉乃、大好きだよ」
「ヒョエーー!!!」
肌と肌が合わさる人生初めての経験に、若葉の思考はもう限界。何がなんだかわからぬままに気を失っていく最中は、己の叫び声が木霊した。
ヒョエーー!!!ヒョエーー!!!
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