#001 これは夢か幻か

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莉乃(りの)?」 「へ!?」  明るいLEDシーリングライトに照らされた自室にいたはずの若葉。しかし天井へと嘆いた瞬間に、彼女の前には暗がりが広がった。これだけでも慌てふためく状況なのに、さらにパニックに陥らせてくるのは、目の前から聞こえてくる重低音。 「莉乃、さっきはあんな言い方してごめん。もう一回しよ?」  は?と思わず若葉は言った。徐々に慣れた目、暗い中でもわかること。それは面前の男は裸んぼうで、ここはベッドの上ってことだ。  そして若葉の胸に熱を帯びた男の手が触れた時、もうひとつ気付くことがある。 「ぎゃあ!」  奇声を発し、背を反らす若葉。やたらと感触のあった胸元を若葉が咄嗟に両手で覆い隠したのは、彼女も目の前の男同様に、裸だったからだ。 「ちょ、な、あ、だ」  ちょっとなに、あなた誰。  狼狽中の若葉はそれすら上手く言えず、縮こまるだけ。 「こ、ど、な、す」  ここどこ、なにすんの。  ガタガタと震え出す若葉の身体。それを男は抱きしめた。 「莉乃、大好きだよ」 「ヒョエーー!!!」  肌と肌が合わさる人生初めての経験に、若葉の思考はもう限界。何がなんだかわからぬままに気を失っていく最中(さなか)は、己の叫び声が木霊した。  ヒョエーー!!!ヒョエーー!!!
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