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怒鳴る母の前、若葉もその言い草には腹が立った。
「だらしなくないよ!ちゃんと働いてるし、読書だってしてるし!」
「コンビニと読書しかしてないじゃない!これだからシングルマザーの子は、だなんて陰で言われてたらどうするのよ!」
「そんなの知らないよ!わたしのことなにも見てこなかったくせに、偉そうにしないでよ!」
「見られるわけないじゃない!忙しく働いてたんだから!」
「じゃあわたしの生き方につべこべ口出ししないで!」
ふんだ!と子供じみた捨て台詞を吐いた若葉は、キッチンカウンターの上、見えた六個入りのバターロール袋をむんずと掴み、荒々しくその場を立ち去る。
「ちょっと若葉!ご飯は!?」
「これでいい!」
ドスドスと、多少の震度を起こしながら階段を駆け上がる若葉。自室の扉を勢いよく閉めて、バターロールを頬張って。
「お母さんのわからずやっ。わたしが書く小説に、嫌われ者のお局役で出しちゃうんだからっ」
と、やり場のない怒りを文章に込めることを決意した。
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