嫉妬心の行く末は

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——このおもちゃをこっそり使って、気付いてくれるか試してみたらいい ——なにを? ——いつもと違う、って疑問を彼女が抱くかどうかをだよ ——……もし、そっちの方が悦いって言われたら?そしたら僕は立ち直れない ——まぁ…、その時はこれまでのお前の愛が足りなかったってことだな  まんまと隼人の策に乗ってしまったのは悔しいけれど、それ以上に奈月が想定していたよりも早く違和感を覚えてくれたことが嬉しくて仕方がない。  ずぷりと入るところまで押し込んでソレから手を離し、両手で奈月の臀部や太ももを撫でさする。 「大人のおもちゃ、って使ったことある?」  カクカクと小さくおしりを揺らしながら、奈月がふるふるとかぶりを振った。 「僕も初めて使うから、痛かったら言ってね」 「んんッ!やぁあっ……」  ずるりと引いて、抜けきる前にまた差し込む。  自分のペニスを挿入している時にはどうしたって見ることができないところまで、近くでまじまじと観察できる。  奥まで入れたおもちゃをゆっくりと引くと、内側の濃いピンクが一緒に引っ張られて、その部分がぷくりと膨れる。  そしてまた押し込むと、疑似男根に絡みついた愛液が蜜口に溜まってぷちゅりと泡立つ音がする。  再び引く。  出ていくのを引き留めるように小陰唇が絡み、内壁がめくれてついてくる。  こうして至近距離で見ていると、こんなにも熱く柔らかなところでぴったりと隙間なく締め付けられて、気持ちよくないはずがないという事がよくわかる。  濃い艶めかしい桃色が熟れた果肉のようで、とても美味しそうだ。  今日は食べてはいけないと言われているが、溢れる果汁が甘いにおいを漂わせて僕を誘う。  いつまで愛でても飽きることのない、魅惑的な僕だけの果実。  ゆるゆると、どこまでもスピードの上がらない抽挿を繰り返され、とうとう奈月が「もうヤダ…」と言い出した。  調子に乗りすぎてしまったかと焦り、動かす手を止めた。  しかし「いや」の理由は僕が想像した内容とは違っていた。  クイクイと腰を揺らしながらきゅうきゅうと膣口を締め付けていた奈月が、おもちゃに添えていた僕の手首をそっと掴んで、陰部から遠ざけた。  ぬぽっと抜けたバイブの入っていた小さな穴が塞がらないままひくひくと震え、埋めてほしそうに収縮を繰り返している。 「たっくんの…がいい……、これじゃ、ないの…」 「——僕の、なに?言葉にしてくれないと、わからないよ」  真っ白だった奈月の身体がほてり、顔も、首元も、肩も、おしりの膨らみも、すっかり赤く色付いている。  奈月の発する色が世界一綺麗な色だと本気で思う。  つくづく骨まで溶かされている自分を痛感する。 「たくや、くんの……あれ、を……ぁあッん!!」  中途半端にボクサーパンツをずり下げて天を仰ぐ勃起を取り出し、尻の柔らかいところをガッと掴んでペニスを最奥まで一気に突き挿れた。  ぎゅううぅと締め付けられて、この上ない天国のような幸福感を味わう。  そして、断腸の思いで性急にずぽっと引き抜いた。  てらてらと妖しく光るペニスが恨めしそうに僕を見ているのを無視して、すぐにまたバイブで穴を埋めた。 「んアッ!!やぁ……ッなん、で…?」 「どっちが気持ちよかった。僕のと、このおもちゃと」 「ふ…ぁ、たっくんの、…たっくんのがいい……」  ふりふりと左右におしりを揺らしながら「これじゃない」と訴える奈月も可愛いけれど、せっかくだからもっと快楽を植え付けたい。 「これでも、僕の方がいいって言える?」 「え……?」  カチッとスイッチを入れた。  うぃんうぃんとモーター音を響かせながら奈月の中でバイブが暴れ出す。 「待っ!あぁッやぁあッン!らめぇとめてッ!おねがッ…んあッ!」  バイブの震えと連動しているかのように、奈月の腰ががっくんがっくんと大きく跳ねる。 「僕のほうがいいなら、イったら駄目だよ。我慢して」 「そん、なッ、あ!やぁ!抜いてぇ!」  ぐっと背中をまるめてうずくまるような体勢を取り、絶頂を迎えないようにおなかに力を入れる奈月。  無駄な抵抗を微笑ましく感じながら、重力に従い抜け落ちそうになるバイブを下から挿し込む僕。  すすり泣きのように奈月が声を絞り出す。 「ゃあ、イく…!イキたく、ないのぉ…たっくん、ので、イキたい…!いっしょが…いいのッ…」  あまりにも可愛いおねだりに、スイッチを切ってパンツを脱いだ。  ゆっくりと引き抜いたバイブの先端と蜜口に透明な糸が引き、とろりと落ちてシーツにシミをつくる。  イクのをこらえていたからか、ヴァギナがひくひくと震えてパクパクと口を開きながらとろとろの果汁を垂らしている。   しかしまったく奈月ときたら、ひくひくと一緒に反応しているアナルまで可愛らしい。  指先で蜜をひと掬いしてツンとさわったら、「そこは…だめッ」と逃げられてしまった。  甘いにおいを充満させたここを食べてはいけないだなんて、まるで拷問のようだ。  仕方なく掬った蜜をひと舐めして我慢したが、僕が口にしたいのは自分の人差し指ではない。  奈月の目隠しを取り外して仰向けにひっくり返し、唇を貪り食う。 「んんッッ…ふぁ、は……ン!」  蕩けきった奈月の表情に、これ以上硬くはならないと思っていた屹立の硬度が増す。  とっくに我慢の限界を迎えていたが、バイブを手に取りスイッチを入れて、わざと意地悪く奈月に見せつけながらクリトリスに擦り付ける。 「ねぇ、コレ気持ちよかった?」  いやいやと奈月が首を振る。 「あぁッ!んぅ…きもち、いいけど、…ちがうの…。おねがい……」  膝を持ち上げて自ら大きく足を開いていく様を、ごくりと唾を飲み込みながら見守る。 「さっきからずっと…ジンジン、して、あついの…。あつくて、奥がせつないの…」  破壊衝動に似た感情が湧き上がる。  暴走しないように、反り勃ったペニスを右手でギュッと握った。  奈月が自らの両の手を陰部に添えて、陰唇を左右に引っ張っていく。  くぱっと開いた小さな穴が、蠢きながら誘惑してくる。 「ここに……ほしいの…。あの…、たっくんの…ぉ、ちん、ちん…いれて…くださぃ……」  真っ赤に頬を染めた奈月を見て、頭の中が沸騰しそうだった。 「おねだり上手になったね……可愛い。奈月が可愛くて堪らない。今埋めてあげるから待ってて」  なけなしの理性でコンドームに手を伸ばした。伸ばした手を、奈月が掴んだ。 「いらない…。大丈夫だから、そのままでいいから、早く…ちょうだい?」  なにがどう大丈夫なのだろう。  その大丈夫は、どういう意味の大丈夫なのか。  本来ならばすぐに確認すべき事だと理解しながら、吸い寄せられるように蜜口に擦り付けるペニスを止めることはできなかった。
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