(一・五)戦場

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(一・五)戦場

「バンバンバン、バーン、バーン、バーン……」  それは何かが爆発したり、破壊されたりする音でした。それから空を戦闘機が飛んだり、大地を戦車が走る音もしています。そしてそれらのノイズにかき消されるように、大勢の人々の悲鳴も聴こえて来るではありませんか! 「なに、これ?」  一体、何なんだろう?健一は真剣な眼差しで、ノートパソコンの画面をじっと見つめました。そこに映っているのは、かなしみさまの顔ではありません。代わりに何処からか、かなしみさまの声が聴こえてきました。 「健一くん」  かなしみさまは一体何処にいるのでしょう? 「なあに、かなしみさま?」  健一は恐る恐る聞き返しました。かなしみさまが答えました。 「これはね、戦場だよ」 「せんじょう?」  そうです、間違いありません。今ノートパソコンの画面に映っているのは、戦争をしている所、戦場の光景なのでした。  そこは戦場。戦闘機や戦車が家やビルを攻撃し、爆弾を落としたり、発射したりしています。 「ドカーン、ドカーン、ドカーン……」  爆弾は爆発し、大きな煙と炎を上げ、どんどん街を破壊していきます。ヘルメットとガスマスクを被った兵士たちが、ライフル銃を構え、無防備な市民たちを狙っています。銃声が響くと、人々が次々に倒れてゆきました。倒れた人の体に家族がすがり付き、嘆きかなしみ、狂ったように泣き叫んでいます。 「おとうさーーん」 「おかあさーーん」 「いとしい人よ」 「あなた……」  泣き叫び逃げ回る人々、兵士に懇願する人々の声が木霊します。子どもたちも怯え、みんな泣いています。しかしそんな人々に向かって、兵士たちは容赦なく銃を構えるのです。 「なんてむごいことをするの!」 「わたしたちが何をしたっていうの?」 「あんたたちは、それでも人間なのか?」 「きゃー、怖い。止めて」 「お願いだから、子どもたちだけは撃たないで」  子どもたちの手を握り締め、抱き寄せながら必死に逃げる大人たちも、みんな恐怖におののき、子どものように涙が止まりません。 「助けて、お願いだから、誰か助けてーーっ」 「神よ、わたしたちを見捨てないで」 「神様、どうか我らを救い給え」 「誰でもいいから、お願い、助けて……」
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