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(一・七)紛争、テロ
気が付くと、ノートパソコンの画面はまっ暗になっていました。
あゝ良かった。これでもう戦争を見なくてすむ。
健一はほっとしました。でもそれも束の間。画面の中に、再び何かが映りました。
「バンバンバーン、ドンドンドーン……」
しかも音もうるさく、戦争の時と同じようでした。
「健一くん」
再びかなしみさまの声がしました。
「なーに?」
健一は不安そうに尋ねました。
「この地球上で戦争をしているのは、イラクェートンだけじゃないんだよ」
「ええっ」
健一はビックリして、思わず大きな声を上げました。
「地球のいたる所で、今も人間たちが争い合っているんだよ」
「ほんと?」
健一は恐る恐る画面に目を向けました。そこには互いに銃を向け合い、撃ち合う兵士たちの姿がありました。それは中東や南アメリカ大陸、そしてアフリカ大陸の紛争地帯の映像でした。画面は次々に替わりながら、世界中を駆け巡っていきました。
自分たちの言う事をきかない国民や少数民族の人たちを、次々に攻撃したり処刑していく独裁者と軍隊。それに対して、抵抗し反撃するゲリラや暴動を起こす市民たち。暴力で革命を起こそうとして何の罪もない市民を巻き添えに、爆破テロや民家への襲撃を行うテロリストたち。
その中で多くの大人、子どもが犠牲者になる。みんな涙を流し、血を流し、そして死んでいくのです。
「ほらね、健一くん。今もこの世界のどこかで、世界中のみんなが傷つき、もがき、苦しみ、かなしみ、嘆いているんだよ」
かなしみさまの声の向こうで、たくさんの人の悲鳴や、すすり泣く声や嘆きが聴こえて来ます。健一はとてもつらくて、耐えきれません。また涙があふれて来そうです。
「わかったよ、かなしみさま。だからもう勘弁して。ぼくもう見ていられないから」
イラクェートンの戦争の時と同じように、健一は一生懸命訴えました。するとまた画面が替わりました。
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