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愛の代償
「ねぇ、ヨシュア、どうして貴方は、逝ってしまったの」
マデリーンは丘の上の墓石の前で、跪き、いつもの様に花を手向けた。
「きっと、人魚と人間の約束を守らなかったからだわ。神様は、お許しにならなかったのね」
1つ、同じ言語を使うこと。
2つ、海で縄張り争いしないこと。
3つ、種別を超えて愛し合わないこと。
マデリーンは、昔、ルースと学んだ3つの約束を、思い出していた。
「あぁ、来世は人間に生まれ変わりますように。もう貴方が私を置いて、離れていきませんように……」
ヨシュアもマデリーンも、人間と人魚の寿命が異なる事を知らなかった。ヨシュアは、天寿を全うしていた。
マデリーンの、ヨシュアへの想いは涙と共にポロポロと溢れ、次々に真珠へと形を変えて行く。
マデリーンは思う。
ヨシュアだけではない。サマンサにルース、他の人魚の仲間達とも、結局、離れ離れになってしまった。
だからこそ、せめて……。
「……ヨシュア、お母さんのことは、何も心配いらない。ゆっくり休んで……また来るわ……」
マデリーンは、ヨシュアの墓石へ、そっと、頬を寄せた。
愛してる……。
マデリーンは、ヨシュアの声を聞いた。
※※※
「あら、また届いたわ」
「一体どなたかしら、長年、こんな高価な物を……」
ヨシュアとサマンサの母親が入院していた病院には、半世紀以上、匿名の人物から大量の真珠が届いていた──。
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