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「......田中さんって、居酒屋みたい」
慌てている私をよそに、
目の前にいる芳田さんはクスクスと笑っている。
「.........素敵な笑顔だな」
...............素直にそう思った。
「ん、ありがと」
芳田さんのそんな声が聞こえてくる.........
「......え、なんで.........?」
「声に出てたよ?」
「な!ななななな‼︎」
どこかの芸人さんのような、
〝な〟ばかりのフレーズ。
ビックリし過ぎてそれしか出てこなかった。
「じゃ、行こっか」
芳田さんはそう言うと、
スッと何のためらいもなく私の手を握る。
「よ、芳田さん.........手」
芳田さんの大きな手に握られただけ。
たった、それだけなのに、
心臓がさっきよりもバクバクしてる。
「田中さん、俺と手、繋ぐの嫌?」
「...............っ‼︎」
『繋ぐの嫌?』って聞かれたけど、
私は顔を赤くして、
フルフルと首を横に振ることしか出来なかった。
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