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『田中さん、落ち込まないで?
別に俺、怒ってないから』
そういう芳田さんの声は、
小さな子供をなだめるかのような。
............そんな優しい声。
「ありがとう、ございます」
芳田さんの優しい声を聞いてたら、
自然と落ち着いてお礼を言うことが出来た。
それから、
他愛もない話をすること10分。
『田中さん、来週って暇?』
「来週、ですか............?」
『そ、バイトない日、デートしない?』
芳田さんが突然、
『デート』と言い出した............
で、デートって、
あの男女が2人で出かけるやつ、だよね?
私は生まれてから、
一度もデートなんてしたことがない。
ううん、させて貰えなかった。その方が正しい。
私の家は、
いわゆる〝お金持ち〟に該当する家。
だから、
私が〝好きな人〟はみんな、突然転校したりで、私の前から姿を消すのが当たり前。
付き合ったり、デートする前に、
何の連絡もなく、私の恋は終わるんだ............
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