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中学二年になるとクラス替えがあり、ラッキーなことに梨々香は祈とは別のクラスになった。しかし、祈はやってきた。休み時間、昼休み、放課後と、足繁く梨々香の教室へとやってくる。この頃にはもう、顔も見たくないほど祈のことが鬱陶しくて堪らなかったが、やはり解決策は見出だせなかった。
そして、祈と同じ小学校だったというクラスメイトから衝撃的な事実を知ることとなる。
「朝倉さん、ヤマイモにとりつかれてるの?」
「ヤマイモ?」
「山野祈のこと。あいつ、すっごい粘着質だからネバネバのヤマイモって呼ばれてたの。気をつけたほうがいいよ」
ネバネバのヤマイモ。確かにその通りだった。こちらを絡めとり、離れようとしてもネバネバと糸が伸びて切れそうで切れない。触れたところから痒くなるような不快感。
「小学生の時も、あいつにとりつかれた子がいてね。ある日、その子がぶち切れて『あんたなんか友達じゃない!』って叫んだら──」
「ど、どうなったの?」
「ヤマイモ、真っ青になって窓から飛び降りたんだよ。まあ、二階だったから死にはしなかったんだけどさ、足の骨を折ってね……治るまで、その子がお世話させられてた。最悪だよね」
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