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が、ヤマイモのネバネバはしつこかった。違う高校になっても、祈は梨々香につきまとい続けた。必ずどこかで待っているのだ。梨々香の通学路を把握し、梨々香が友達と別れひとりになると、必ずどこかから祈がひょこりと顔をだす。そして梨々香の家までついてくる。
何度か禁断の言葉を言ってやろうかと思った。
お前なんか友達じゃないと交差点で言えば、祈は車道に飛び出して車に轢かれて死ぬのではないか。でも、もし運良く死ななかったら? 下半身不随になり、梨々香ちゃんのせいで車道に飛び出したんだと言われてしまったら、自分は一生、祈の世話をしなければならなくなるのではないか。そう思うと、禁断の言葉は喉の奥で消えてしまうのだった。
両親に相談したこともある。けれど、取り合ってもらえなかった。一緒に帰るだけなんでしょう? 嫌なことを言われるわけじゃないんでしょう? そう言われてしまったら、もうなにも言えなかった。存在そのものが嫌だなんて、両親には到底言えなかった。
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