6.隠し事の共有

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「少し1人にしてあげよう」 フェリクス様の言葉に同意してテオだけを残して僕達は家から出た。 「あの子のことはどうするのですか?」 ダリウスさんがフェリクス様に尋ねると、自分に任せて欲しいとフェリクス様が答えた。 「闇魔法の使い手は回復魔法と同じく国で保護することが義務付けられている。闇魔法は強力だが、その分魔法コントロールが難しいため暴走しやすい。あの子をこのままにしておく訳にはいかないだろう。彼の出生についても気になることがあるし、彼が望むのなら私の屋敷で保護してもいいと思っている」 「分かりました。貴方の御意思に従います」 「ありがとう。ダリウスはあの子が落ち着いたら私の屋敷まで連れてきて欲しい。私は少しルダと話をしたいから」 「……分かりました」 ダリウスさんは僕の方を一瞬見てから視線を逸らした。 「少し移動しようか」 「……はい」 フェリクス様が僕に声をかけてくれたからそれに従って一緒にその場を離れる。 スラム街を抜けて賑わいのある街中へと戻ってきた僕達は、ダリウスさんと話をした噴水前のベンチへと腰掛けた。 「まさかルダがあの場所に来るとは思っていなかった」 「……いつもあんなことをしてるんですか?」 「……時々、ね……。普段はお金を受け取って回復魔法を使っているんだ。でもね、それじゃ何も意味なんてない。スラムの人達のように診てもらいたくともお金が無い人もいるから。だからたまにこうやって王太子だということを隠して怪我や病を治して回っているんだよ。……私は、自分の出来る限りの手助けをしてるつもりなんだけどね……」 フェリクス様は助けられなかったテオのお母さんのことを思い出しているのか、悲しそうに目を細めた。 そんな彼を励ましてあげたくて必死に言葉を紡ぐ。 「……フェリクス様は凄いです。僕には貴方のしていることが凄く立派なことだって思うんです。僕には真似出来ないから」 「ルダだって彼女の心を守ったじゃないか。それはとても立派なことじゃないかな。あんな魔法が使えたなんて本当に驚いたんだよ」 「……全部フェリクス様のおかげです」 きっと僕一人じゃ彼女に手を差し伸べることなんて出来ないまま、足がすくんでいたと思う。 だけど、フェリクス様が人を助けようとしている必死な姿を見て僕も彼の様になりたいって思ったんだ。だから、僕はあの時行動できた。
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