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ミヤの告白
「秘密基地とか言っちゃって、ばかばかしい。男子ってほんとガキだよね!」
俺とナベにそう言い放った、小五のミヤ。あれは本心ではなかったと、高一の蓮見安奈は診療所のベッドの上で、泣きながら話した。
「ごめんね……田宮に言わされたの。もうナベとはるちーとは遊ぶなって、女子となら許すけど、男友だちとは縁を切れって、言われたんだ……」
ミヤは俺たちと決別してから、嫌がっていたスカートを履き、クラスメイトの田宮とばかり一緒にいるようになった。田宮は乱暴で自分勝手な性格で、周りから避けられていた男子だ。誰もが不思議に思いながらも、「田宮と蓮見」はあの秋から、公認のカップルになった。
「結局、ただの女子だったんだな、ミヤも」
女子、というものが不浄な存在であるかのように、ナベが顔を歪めてそう吐き捨てたのを覚えてる。今思えば、穏やかなナベがそんな暴言を吐くほど、ミヤに投げつけられた言葉に傷ついたんだろう。それが分からなかった俺は、ミヤの豹変とナベの冷たい反応が、同じくらいショックだった。
冷静に考えれば、ひどく不自然だったんだ。
もっとちゃんと、ミヤと話をすればよかった。どうしたんだよ、何かあったんだろ、きちんとそう聞いていれば、もしかしたらミヤは事情を話をしてくれたかもしれない。でも俺もナベもまだ、そこまで考えられるほど大人じゃなかった。
考えたこともなかったんだ。まさか、ミヤが田宮に脅されていたなんて。
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