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ナベにそう言われて、俺とミヤはなんか、スン、てなった。ちょっと寂しい気もするけど、たぶんそれが、担任の口癖の「最適解」なんだろう。
母親が病気で死んだ四年前、ミヤは父親の故郷であるこの町に引っ越してきた。寺の息子のナベと、診療所が自宅のオレは、ずっとこの町にいるだろうけど。父親とアパート暮らしのミヤは、いつかまたどこかへ引っ越すかもしれない。俺もナベも、そう感じていたからだ。
「うん! ずっと仲間だかんね!」
ミヤがニカッと笑い、俺とナベは「ずっと一緒にはいられないかもしれない」予感を頭から追い払った。
「病めるときも健やかなるときも、だな」
「はるちー、それは違うぞ」
「え、マジ?」
「ばっかでー、はるちー! それ結婚式のセリフ!」
「ミヤにばか呼ばわりされると屈辱だ」
「なんだとぉ!?」
結果的に、ミヤは違う高校に進学した今でも同じ町内に住んでいる。けど、俺たち三人の友情のピークは、あの小四の夏だった。
あれから俺は隣町の塾に通い、ナベは寺の手伝いが忙しくなって。小五でクラスがバラバラになってからは、自然に他の友達とつるむようになった。
離れていても、仲間は仲間。俺はずっとそう思っていたけど。たぶんミヤは、そうじゃなかったんだろう。
「もうお前らなんかと遊んでらんないよ」
ミヤが冷めた顔で俺とナベにそう吐き捨てたのは、小五の秋だった。
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