新聞部活動日誌⑬ 内部分裂(サッカー部)

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「内部分裂ですか」 「そうだ。わが校のサッカー部が、内部分裂を起こした」 「それはまたどうして」 「戦略の方向性の違いらしい」 「方向性ねぇ」 「明日、取材を行う。今日中に各派閥の主張を把握しておいてくれ」 部長は部室の机にある、A⒋サイズのリーフレットを指さした。 「どんな派閥があるのですか」 「三つだ」 「三つも。一体どんな主張があるのだろうか」 新入記者は資料を読み始めた。 『ボールは仲間党』。 サッカーを行う上でボールは欠かすことが出来ない存在。 だからこそ、丁寧に扱わねばならない。それゆえに、基本、ボールを蹴らず、守りを固めて、相手のミスを待つカウンタータイプの戦術を掲げる派閥。 『ボールは恋人党』 恋人とのひと時は何事にも代えがたい時間である。故に、ボールを蹴る時間を増やすべし。チームプレイを中心にするのではなく、単独プレーを味方がカバーする戦術を掲げる派閥。 『ボールは愛人党』 愛人とは許されない間柄である。それゆえに、熱い思いをぶつけるのが筋。守りに徹するのではなく、徹底的に攻めに回る戦術を掲げる派閥。 新入記者は資料を読み終えた。 「君としては、それぞれの主張をどう受け止める? 」 「うーん、そうですね」 新入記者はしばらく考え、こう答えた。 「とりあえず言えるのは、どの派閥であっても、あのサッカー漫画に多大な影響を受けていることが分かりました」
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