第1章 SSRって、何?

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「嫉妬?……この、僕が?」 「そうよ」 「……あり得ないね。僕が嫉妬だなんて。ただ。僕だけの香澄のが、僕以外の他のものに目を奪われているのを見ると、イライラするだけさ」 「それを嫉妬っていうのよ!辞書持ち歩きなさい!むしろそのスマホで今すぐググりなさい!!!あんた、仮にも弁護士!言葉使う仕事!!日本語大事よ!!」  もちろん、拓人の言うことは、基本は華麗にスルーする気満々の涼なので、拓人のありがた〜いアドバイスはありがた〜いと思いながら無かったことにした上で、自分が聞きたかったもう1つの話題を振った。 「後さ、もう1つ聞きたいんだけど…………」 「今度は何…………」 「さっき、香澄に仕事の電話がかかってきてたんだけど」 「……なんですって?」 「おかげで、僕との時間を邪魔されて、すごく迷惑してるんだけどまさかたっくんじゃないよね」 「そんな訳ないでしょ!あの子が妊婦だって私だって知ってるのよ。あんたには死ぬ一歩手前まで無理をさせたところで、なんの罪悪感も抱かないけど、香澄に何かあったら、あんたを何度呪い殺しても殺し足りないわ」  いろいろと、ツッコミどころが多い拓人のコメントだったが、もちろん涼は1箇所……香澄に何かあったらの部分……以外は、やっぱりスルー。 「その、香澄が。一体なんの電話か知らないけれど、明日の朝までに仕上げなきゃいけないとか……。たっくんが香澄にそんな指示するんだったら、丸坊主写真を今すぐ広めようかと思ったよ」 「いい加減その写真データ消しなさいよ!そして、私はそんなことしないし、させるつもりもないわ!」 「けれど、たっくんが香澄に仕事を振ってるんだろう?それも許し難いけど、香澄が望むことはさせてあげたいからね」 「確かに私はあの子に仕事を依頼をしているわ。でも私とあの子はまだ雇用関係じゃない。業務委託よ。……あの子が、私以外の会社から仕事を受けてたとしても、私は管理することはできないの。……でも、どうしてあの子そんなことを……」 「どういうこと?」 「私が振っている仕事の量は、それだけで毎月食べていける分よ。他に仕事を受ける必要なんて、ないはずなのに……」  つまり。  香澄は涼は当たり前だが、拓人も知らない間に、拓人以外からの仕事を受けていたことになる。  でも一体なんのために?
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