第1章 SSRって、何?

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 香澄が、そんな切実な悩みを抱えていることを知らない涼はと言えば、拓人が冷めた視線を送っているのを完全無視しながら、拓人の目の前で調べていた。  立花潤、カミーユ、桜井健一、真田邦彦とは一体なんなのか、を。 「お、俺様キャラ……?」  涼は、聞きなれない単語に困惑していた。  拓人は、その右往左往っぷりがあまりにもうざかったので、仕方がなく自分が今まさに作っているキャラクター設定集を見せてやることにした。 「何だ、これは」 「俺様キャラの説明文。ちゃんと、声に出して、読んでみなさい」 「…………自分勝手、自己中、他人を目下の人間だと考えて扱う……リアルだと……仕事ができないと嫌われるキャラ……」 「どっかの誰かさんみたいね」 「…………こんなキャラのどこが良いんだ香澄は…………」 「……………………1年前までのあんたのことを知ってる人間が今の発言聞いたら、全力で引くわよ」 「こんな、自己中で、人を人とも思わないようなキャラに、僕は香澄を奪われたというのか……?」 「ツッコミどころしかない発言だけど、ついでにタマとにゃんこ姫も調べてみたら?」  その言葉を聞いてすぐ、涼は親指をものすごいスピードで操作した。 「タマは…………丸っこい…………よくわかんない点々がついてる…………」 「その点々、目と口だから。あと一応、猫ね、それ」 「にゃんこ姫は…………2本足で立って着物を着ているよくわかんない生物……」 「だから、名前からしてもそれ、猫ね。香澄は猫好きだから」 「そうなのか!?ラッコだけじゃないのか!?」 「え、ええ……犬も嫌いじゃないけど、猫派だって言ってたけど…………ってちょっと、そんな端の方で屍のように転がらないで!」  涼は、いかに自分が香澄の好みを知らなかったのかを改めて知った。  そのせいで、せっかく腕に抱きしめられるようになった香澄が、自分から去っていくのではないかと急に怖くなった。  その危機感から、涼は久しぶりに全力で自分の脳みその細胞をフル稼働させた。  今の情報をミックスした結果、涼は香澄に注目し続けてもらえる可能性を1つだけ見つけた。 「僕……じゃなかった……俺……今日から俺様キャラの猫になる…………」 「あんたに大学主席卒業譲った、他の天才が今の発言聞いたら泣くからやめて!!!ほんっとやめて!!!」
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