第1章 SSRって、何?

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 涼が香澄の家に来てから、香澄による無意識塩対応の数は、もはや両手では数えきれなくなっている。  最近の事例だと、涼が香澄に「一緒にお風呂に入らないか?」と誘った時。  繋がることは出来なくても、妊娠中でも香澄が安心して使えるボディーソープを使って洗い合いっこをしたり、香澄のむくみを取るマッサージを湯船の中でしてやることはできる。  あそこが大きくなるのは、お互い目を瞑るとしても。  お腹にも優しいスキンシップを繰り返しながら、自分も香澄も安心し合える関係に近づきたいと、涼は思っていたのだ。  ちなみにその日は、香澄にロマンチックな気分に浸ってもらおうと、お風呂用の可愛いキャンドルや、防水スピーカー、妊娠中でも使える泡風呂用の入浴剤もバッチリ用意していた。  女性はそういうのが好きだと言う情報は、これまでの経験から身についていたから。  もちろん、香澄から「なぜ知ったの?」と聞かれた時は、便利な「密林だよ」という言葉を使う気満々だった。  わざわざ香澄を不安にさせる必要は、ないから。  というわけで、涼は香澄の「ありがとう、涼先生」の言葉が聞きたいがために、いつも以上に風呂をピカピカに磨き上げた。  それから全てをセッティングし終わった後で、2階に駆け上がり、香澄の部屋の扉をノックした。 「今日は、一緒にお風呂入らない?」  香澄には、極力どストレートに伝えるようにしていた。  駆け引きとかしていたら、確実に香澄は  ところが、香澄から返ってきたのは 「すみません!仕事なので今日は無理です」  早口でのお断りだった。   しかも、よくよくドア越しに聞いていると、どうも誰かと話をしていうようだった。  専門用語なのだろうか。  イベントがどうたら、広告効果がどうたらと香澄が話しているのは分かったので、おそらく仕事相手とミーティング中だったのだろう。  それ以上声を出してミーティングの邪魔するのは、いくら涼でも良くないと分かっている。仮にも弁護士なのだから。  なので、そのままメッセージで「お風呂入れそうになったら教えて」とだけ送った。  それから、数時間経っても、この件で香澄から返事は返ってこなかった。  せっかくの泡風呂はただの風呂になってしまっていた……。
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